自分の頭を守るヘルメット、昔と比べてとても高価になりました。
買ってはみたものの、気に入らないからっておいそれと買い替えできるものではありません。だから間違わずにじっくり選びたいけど、何を基準に選んだらいいのでしょうか。
ヘルメットの形状やデザイン、安全性、快適性などが選ぶ基準がいくつもあります。
安全性ではあごひもにも特徴があり、従来からあるDリング以外にラチェット式やワンタッチ式などさまざまな固定方法が登場しています。
私はアライヘルメットのアストロGXを購入しました。購入の決め手は、アライヘルメットがDリングのみを採用しているところにメーカーの強いこだわりを感じたからです。安全性に対するメーカー独自の考え方から、会社の方向性や方針がはっきりしていることが伝わってきました。
ヘルメットを購入するとき注目すべき6つのポイントと、私が購入したアストロGXとはどんなヘルメットかを解説します。
ヘルメット選び 6つのポイント
ヘルメット選びのポイントは、メーカー、安全性、機能性など6つに注目します。
- メーカー
- 形状
- カラー
- 安全性
- 快適性
- フィット性
信頼できるメーカーを選ぶ
国産ヘルメットメーカーといえば、アライヘルメット、ショウエイ、OGK KABUTOの3社が代表的でしょう。3社のヘルメットを選べば安全性、フィット感など十分満足できます。
加えて、各メーカーの安全性への考え方も紹介します。
アライヘルメット
アライヘルメットは日本初のバイク用ヘルメットメーカーで、日本を代表するトップブランドの1つです。多くのロードレースライダーに愛用されていることからも、安全性やデザイン性に優れていることがわかります。
安全性へのこだわりが強く、ほぼすべてのモデルでSNELL規格をクリア、衝撃を逃す「R75 SHAPE」を採用し、あらゆる方向からの衝撃をかわす性能を備えています。安全性を高めたアライの答えが、他メーカーと比べて丸い形状に表れています。
アライヘルメットの安全性へのこだわり「ARAI SAFETY」で余すことなく披露されています。魂がこもったこだわりにおじさんはグッと涙しました。
ショウエイ
ショウエイは、アライと並ぶ国内トップブランドで、こちらも多くのロードレースライダーに愛用されています。空力特性を活かした洗練されたデザインが特徴です。
フルフェイス、ジェットはもちろんのこと、システムヘルメットやヘルメット内にバイザーを内蔵するなど、顧客ニーズにしっかり応えている印象です。BMX用へルメットをラインナップしていることも特徴的です。
シールドの取り付け部分にカバーがないので風切音が抑えられ静寂性に優れているてんでは他社の追従を許しません。
OGKカブト
私が若い頃はほとんど印象になかったOGK KABUTOですが、今ではアライ、ショウエイに次ぐ存在のメーカーです。こちらもシステムヘルメットや内蔵バイザーなど採用した製品があります。上記2社に比べてリーズナブルな価格設定も魅力の一つです。システムヘルメット「RYUKI」はとても気になるモデルの一つです。
大きく分けてバイク用ヘルメット、自転車用ヘルメットを揃えています。
OGKカブトの安全性については、「安全性能へのこだわり」をご覧ください。
バイクライフに合わせた形状を選ぶ
大きく分けて、フルフェイスタイプ、ジェットタイプ、システムタイプ、オフロードタイプがあります。
ハーフタイプ(半キャップ)も存在しますが、安全性が低いため本記事では扱いません。
フルフェイスタイプ
頭全体を覆う最も安全性の高いヘルメットで、プロのロードレースライダーから公道まで幅広く使用されています。
タイプ | 特徴 | 製品例 |
---|---|---|
レーシング | サーキット走行やレース用に最適化 高い空力性能と軽量設計、優れた通気性を兼ね備える | ショウエイ X-Fourteen アライヘルメット RX7-X OGKカブト F-17 |
ツーリング | 長距離走行に適した快適性重視の設計 静粛性が高く、快適な内装と優れたベンチレーション | アライヘルメット アストロ GX ショウエイ GT-Air II OGKカブト KAMUI 3 |
ネオレトロ | ネイキッドやクラシックタイプのバイクにも似合う デザインと安全性を両立している | ショウエイ グラムスター アライヘルメット ラパイドネオ |
- 高い安全性(あごまで保護)
- 優れた防風・防音性能
- 高速走行時の快適性
- 視界がやや制限される
- 夏場は暑くなりやすい
ジェットヘルメット
あごの部分が開放されているヘルメットで、広い視野と開放感が特徴です。
タイプ | 特徴 | 製品例 |
---|---|---|
スタンダード | 最も一般的なタイプ 基本的な保護機能を備えた標準的なデザイン | ショウエイ J-FOURCE4 アライヘルメット VZ−ラム OGKカブト EXCEED |
セミジェット | 顔の側面をやや覆うデザイン スタンダードジェットよりも保護範囲が広い | アライ SZ-G |
クラシック | レトロなデザインが特徴 ビンテージバイクやカフェレーサーに似合う | ショウエイ J・O |
ツーリング | 長距離走行に適した快適性重視の設計 大型のシールドやサンバイザーを装備 | ショウエイ J-Cruise |
オープンフェイス | 顔の前面が完全に開放されているタイプ 最大の開放感を提供 | コミネ FL コンポジット FRP ジェットヘルメット HK-172 |
- 広い視界
- 開放感がある
- 夏場でも涼しい
- フルフェイスより安全性が劣る
システムヘルメット
フルフェイスヘルメットの形状をしながら、あご部のチンバーが上下に開閉してジェットヘルメットの特徴も併せ持つヘルメットです。
タイプ | 特徴 | 製品例 |
---|---|---|
システムタイプ | チンバーが上下に開閉可能 フルフェイスとジェットの利点を兼ね備える 給油や休憩時に便利 | ショウエイ NEOTEC II OGKカブト RYUKI |
- 状況に応じてあご部分を開閉可能
- 水分補給が容易
- 比較的高価
- 重くなる傾向がある
オフロードヘルメット
口元が前方に突き出し大きなひさしが特徴の、オフロード走行に適したヘルメットです。アドベンチャーバイク向けにハイブリッドタイプのヘルメットもラインナップされています。
タイプ | 特徴 | 製品例 |
---|---|---|
オフロード | ダート走行やアドベンチャーバイク向け 長めのチンガードやバイザー(ひさし) ゴーグル装着タイプもある | アライヘルメット Vクロス4 ショウエイ VFX-WR OGKカブト GEOSYS |
ハイブリッド | 特にアドベンチャーバイク向け シールドがあり防風防雨性に優れる | ショウエイ HORNET ADV アライヘルメット ツアークロスV |
- 激しいオフロード走行に適した安全設計で、軽量性と安全性が高い
- 口元が前に出ており、息がしやすく通気性が優れ、大きな開口部により広い視界が確保
- ゴーグルやバイザーの交換が容易で、カスタマイズが可能
- 風や雨が入りやすい構造
- 防音性と高速走行時が不安定(ハイブリッドタイプは防風防雨性良好)
カラーにより個性を出すことも
ライダーの個性が出る1つにヘルメットのカラーリングがあります。GPライダーもヘルメットで識別することができるくらいです。一般道を走るライダーにとってはデザイン性と視認性は重要なポイントとなります。
各メーカーのフラッグシップモデルにはレプリカモデルもあり、憧れのライダーがいたり気に入ったデザインがある方は選ぶのもありでしょう。
ちなみに、学生の頃被っていたショウエイのGRVは白色で、カッティングシートを使ってオリジナルにしていました。デザインはバイク小説の挿絵から拝借しました。
メーカーごとの安全性への取り組みも重要
アライヘルメット、ショウエイ、OGKカブトの安全性に関する主な特徴は以下の通りです。
これらのメーカーは、それぞれ独自の技術や設計思想を持ちながら、高い安全性を追求しています。アライは「かわす」性能と強度、ショウエイは衝撃吸収と快適性のバランス、OGKカブトは軽量性と先進的な安全技術の導入に特に注力していると言えます。
アライヘルメット
- 高い安全性基準
SNELL規格とJIS規格の両方を満たし、さらにSNELL規格の合格値の半分以下を目標としています。 - R75 SHAPE
曲率半径75mm以上の連続した曲面設計で、衝撃を「かわす」性能を重視しています。 - 強度の高い素材
FRP製の帽体に、通常のグラスファイバーより30%強度が高いスーパーファイバーを使用しています。 - 一貫した安全性
価格帯に関わらず、全モデルで同等の安全性を提供しています[3]。
ショウエイ
- 衝撃吸収性能
縦長の形状で、衝撃を吸収する帽体設計を採用しています[1]。 - 快適性と安全性の両立
使用時の快適性と安全性のバランスを重視しています[1]。 - 静音性
走行時の風切り音が小さく、静音性が高いのが特徴です[1]。
OGKカブト
- 軽量設計
軽量化を追求しつつ、高い安全性を確保しています。 - ウェイクスタビライザーシステム
走行中の安定性を高め、首への負担を軽減する独自技術を採用しています。 - 多様な安全機能
一部のモデルでは、MIPS(Multi-directional Impact Protection System)やM.E.D.S(Motion Energy Distribution System)などの衝撃緩和システムを採用しています。
快適性は安全走行にもつながる重要な要素です
快適性には、静寂性や通気性
走行性能と内装の脱着性能
50代にもなるとメガネ必須の方もおられるでしょう。メガネのかけやすさもヘルメット選びに影響しますが、最近のヘルメットは眼鏡のツルが入れやすい構造になっているものがあります。あえて謳ってなくてもメガネが掛けやすいように設計されているモデルもあります。
私は2種類のメガネを使ってみましたが、ツルの太いほうがヘルメットに入れやすいですが頭への締付けが強く使うのをやめました。一方ツルの細いメガネはヘルメットに入れにくいのですが長時間使っても痛みを感じることはありませんでした。
フィット性 サイズ感は試着して確認することが大切
ヘルメット選びではサイズ感フィット感はとても重要です。多くのバイク用品店で、自分にあったヘルメットサイズを紹介してくれるフィッティングサービスをしています。
ヘルメットメーカーの講習を修了されたスタッフが頭のサイズを計測してくれて、最適なサイズを紹介してくれたり、内装交換などの提案もしてくれます。
散髪したてと伸び切った髪ではサイズが異なることも
3〜4ヶ月に一回しか散髪をしない私は、散髪した直後と伸びきった髪とでは頭のサイズが異なりました。
頭の締付けが痛すぎてツーリングを途中で切り上げて帰ったこともあるくらいです。
内装を少し広くするパッドに変更することで解決しました。それ以来、ヘルメットで頭が痛くなる前に散髪に行くという、ヘルメットを中心?に散髪をする生活に変わりました。
短髪の方は特に大きく異なることが多いでしょう。したがってどのタイミングでヘルメットの試着に行くかも注意が必要です。
欧米メーカーのヘルメットは試着必須です
国産メーカーではアジア人(モンゴロイド)の頭の形状に合わせて作られていますが、欧米メーカーのヘルメットでは欧米人(コーカソイド)に合った前後に長い形状となっています。
同じLサイズでも欧米メーカーのヘルメットをアジア人がかぶる場合は、横幅がきつく1サイズ大きいものがフィットすることもあるため、試着がとても大切です。
アジア人と欧米人の骨格の違いは、下記のサイトでわかりやすく解説されており参考になりました。
アストロGXを選んだ理由 5選
10代の頃、GPの世界ではケニー・ロバーツやフレディ・スペンサー、日本人選手では片山敬済や平忠彦などの全盛期を迎えていました。国内外の多くのトップライダーがアライヘルメットやショウエイを使用しており、これらはまさに双璧をなす輝かしいトップブランドでした。
その中で登場したオーストラリアの英雄、「ブルー・サンダー」ことワイン・ガードナーに私はすっかり魅了されました。彼が使用していたのがショウエイのヘルメットでありクシタニの革ツナギでした。彼の存在が私の心を射抜いていったのです。
ショウエイ推しだった私は、バイトで貯めたお金で初めて買ったヘルメットはGRV、フルフェイスヘルメットでした。ショウエイのジェットヘルメットも持っていました。
そんな私がなぜアライヘルメット、アストロGXを選択したのかご説明します。
アライヘルメット アストロGXはオールラウンダー
私が使用しているヘルメットは、アライヘルメットのアストロGXです。
キャッチフレーズは「アストロ史上最高の被り心地、走りを選ばないオールラウンダー」
ホームページの写真やビデオではツアラー、アドベンチャー、スーパースポーツ、ネイキッドと様々なバイクに乗っています。どんなバイクにも似合うってことでしょう。あれ、クラシックタイプはないですね。
安全性重視のフルフェイスヘルメット
メーカーに関わらず、ヘルメットの形状は最初からフルフェイスと決めていました。
ヘルメット購入時点ではバイクは所有していなかったため、がバイクのデザインに引っ張られてヘルメットを選ぶこともありませんでした。しかしフルフェイス以外の選択肢に揺らぐことはありませんでした。
その理由は、顎部の安全性です。顎部も含めて全体を一体成型していることで、万が一の事故の際にも私をしっかり守ってくれると信じているからです。
もちろん、ジェットヘルメットやシステムヘルメットにもそれぞれの魅力があります。信号待ちで飲み物が飲めたり視界が広いのはいいですよね。しかし、それと引き換えに顎部の強度が低下していることは理解しておく必要があります。
価値に見合った価格
アライとショウエイを同程度のクラスで比較すると、アライのほうがやや安価な価格設定になっていました。日本のトップブランド同士であるため品質や安全性では甲乙つけがたいので、価格も選択の要素となりました。
Dリング式のあごひもに共感
安全性の観点からあごひもは重要ポイントです。
もともとショウエイ推しだったので、まずはショウエイのヘルメットを調査しました。
最近のショウエイのヘルメットのあごひもは、昔からあるDリングと、「マイクロ・ラチェット・システム」いわゆるカチカチと機械的に締め込むタイプのあごひもが採用されている製品があります。
一方、アライはすべてのモデルでDリングを採用しており、その姿勢には「泥臭えなぁ」と感じつつも会社の考え方や思いがはっきりと伝わってきました。それが安心感のあるブランドだと思えるようになりました。その結果、アライのヘルメットを購入することに決めたのです。
確かにDリングは手間がかかりますが、単純でガッチリと固定できるDリングのほうが安心して使えるというのが私の印象です。
被り心地は抜群
快適性から考えると、被り心地も重要な要素です。ただし、これは個人差が大きいので、実際にショップで試着することが大切だと考えています。
ネットやYouTubeでたくさんのレビューを見て情報収集し、RX7-Xまでは必要ないかなと考えました。メインはツーリングや街乗りを想定しているので、アストロGXに決定しました。
購入のため近くの2りんかんに。念の為RX7-XやXDも被ってみたのですが、意外とRX7-Xもいい感じでした。さすがフラッグシップモデルという印象。それでも結論は変わらずアストロGXに決定しました。
今考えれば、他社のヘルメットも被ってみたら良かったなと思います。また違った印象を受けていたかもしれません。
複数のベンチレーションで快適性アップ
ベンチレーションによる快適性も、ヘルメット選びにおいて重要な要素です。各メーカーは様々なベンチレーションを採用しており、開発には力を入れているようです。
アストロGXでは昔ながらの機構と新しい機構のベンチレーションの両方が採用されており、特に注目すべき3か所をピックアップして紹介します。
インナーサイドダクト
昔ながらでいえば、アライお得意のシールドにあるベンチレーション。今でもこのデザインが採用されていることから、ベンチレーション効果の高さが伺えます。
フロントロゴダクト
新しいところでは、おでこのエンブレムにベンチレーション機能「フロントロゴダクト」が採用されています。エンブレムが少し膨らんだ形状になっており、上部のつまみが下がった状態で開、引き上げると閉という、常時空いているベンチレーションです。
初めは見た目とは逆の状態で最初は戸惑いました。
Gフローダクト
エンブレムの左右後ろに設置されているのが「Gフローダクト」です。こちらは見た目通りに前にすると閉、後ろにすると開となります。うーん、フロントロゴダクトが逆の動作なのでややこしい。
カラー
視認性から白がいいかなと思ったのですが、
「白いヘルメットってスターウォーズみたい」
と言われたので選択から外しました。なんだかんだいって、妻の言葉は気になりますね。
次の候補としてグレーが良いかと思い、プラチナグレーFに決定しました。店頭で確認するまで艶消しグレーとは気づきませんでした。他の選択肢は黒かペイントもありました。
在庫を確認してもらい、無事に確保できました。ふと棚を見ると「モダングレー」の文字が。どんな色か尋ねると、ラパイドネオの同色を見せてくれました。ねずみ色です。艶はありますが、どう見ても私にはねずみの色という気がして、私的には候補外となりました。
写真にもあるように、なかなか渋い色です。大人感満載のつや消しグレーです。実物を妻に見せると好評価で安心しました。息子には「おじさんは無難なグレーを選ぶんだって」と言われました。
ツアラーに似合うデザイン
購入候補のバイクは、SR400、エストレア、W650、W800などのクラシック路線で探していました。しかし、ふと思ったのです。この色ならツアラーが似合うのではないかと。アストロGXのグレーはツアラーにぴったり合いそうです。
バイクに合わせてヘルメットを買う人が多いかもしれませんが、まだバイクを持っていない私だからこそ、こんな発想になってしまうのかもしれません。
まとめ
前半ではヘルメット選びを6つのポイントから解説しました。
メーカーごとの特徴や形状やデザインによる差があったり、安全性や快適性も含めたトータルでヘルメット選びをするとよいでしょう。
後半ではヘルメット選びの6つのポイントを踏まえて、私がアストロGXを購入した理由をご紹介しました。
- アライヘルメットのアストロGXを購入しました
- 安全性からフルフェイスヘルメットにしました
- あごひもは機械式ではなくDリングで締めるタイプにしました
- 十分なベンチレーションシステムがあるものにしました
- カラーは無難なグレーにしました
メガネをかけている方は何度か練習が必要です。ツルの形状によってもかけやすさが変わります。
余談ですが、身につけるものは極力現物を見て、フィット感や快適性を確認して購入するようにしています。バイク用品では、ヘルメット、ジャケット、パンツ、ブーツなどはじっくり時間を使って試着して着心地を確認します。ブーツなどはしっかり締まっているのもポイントなので、より時間をかけて検討しています。
2024年現在、愛車はカワサキW800です。クラシックスタイル?レトロスタイルとも言えるくらいの雰囲気が溢れ出ている車種ですが、似合っているかと言われるとどうでしょう?本人は気に入っています。
デザインやカラーが落ち着いていて、おじさんにも違和感なくかぶることができます。
皆さんの参考になれば幸いです。
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